sitebbiw' memo

岡崎京子ファンサイト「BIG BOREDOM in WWW」のイケダのブログ。

続・感想・三原ミツカズ「ハッピーファミリー」上下
絵が下手なわけではない。が、固い。ひとコマひとコマのディティールを詰めるがあまり、ページの印象が固く感じるのだと思う。マンガはリズムだと思うし、省略するのは技術だと思うので。
そういう意味ではコミカルな要素を多分に含んだものよりもシリアスさに重きを置いた方がハマりはいいのかもしれない。岡崎京子がどこかで書いていた「そのひとの中のロマンチック濃度」といったフレーズを思い出すのだけれど、ロマンチックが濃いということは、すなわち自己愛が強いわけで、それはしばしばナルシスティックに、独り善がりなものになってしまう。徹底的に「自分の好きなもの」で構築され、その線を突き進む覚悟(ポピュラリティを捨て、マイノリティでも構わない)ならそれはそれでいいとは思うのだけれど。


リアルである必要というのはないといえばないのだけれど、世界に厚みを持たすのであれば、読者が共感できる要素が含まれていた方がいいに決まっている。世界の構成要素として、カッコ悪いオトコノコや不器量なオンナノコ、汚いおっさんやオバさん、そういったものの欠如にはやや不満を感じる。もったいない、と。それは意図的に排除しているのか、描けないのか分からないけれど。
こじんまりとまとまりすぎてしまってる感を感じなくもない。もっと物語が破綻するくらいの暴走を見てみたい気はする。